公務員の給料・貯蓄

公務員が個人型確定拠出年金(iDeCo)受け取り時の税金額を計算してみた

個人型確定拠出年金(iDeCo)は運用期間中の利益は非課税ですが、給付時には課税されます。受け取る方法や時期によって所得税と住民税に影響を与えることを覚えておきましょう。

サラリーマンは定年退職後に退職金が支給されるので、iDeCoで運用してきた資金をいつ・どのように受け取るかをシミュレーションしておくことが大事です。

  • 一括で受け取った方がいいのか?
  • 年金としてこまめに貰った方がいいのか?

高い税金を支払わないための受け取り方法について考えていきましょう。

税制や退職給付制度の変更により税金の計算方法は変わってくるので、あくまで現時点でのプランを考えるものです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の受け取り方法

60歳以降に積み立たお金を受け取る場合、以下の3つの方法が考えられます。

  • 一時金
  • 年金
  • 一時金+年金

給付時の受け取り方法は金融機関によって異なるので、できれば加入前に確認することをオススメします。

例えば楽天証券の場合、一時金を60~70歳の間で受け取るか、年金方式で5年以上20年以下で受け取るか、一部を一時金にして残りを年金形式にすることができます。

受け取り方法によって税金の計算が変わってくるので、それぞれのケースでどのように税金が計算されるのかをチェックしていきましょう。

一時金として受け取る場合

一時金は60歳以降に一括で受け取るため、税法上は退職金と同じ『退職所得』として扱われます。

退職所得の計算方法は、収入額(iDeCoの受給額)から退職所得控除額を差し引いた額を半分にした金額になります。この退職所得に税率をかけて所得税と住民税が算出されるのです。

退職所得=(受取額-退職所得控除額)÷2

退職所得控除は①在籍期間②iDeCo加入期間のどちらか長い方を採用するので、だいたいの人は①が該当するかと思われます。

在籍期間 退職所得控除額
20年 800万円
25年 1,150万円
30年 1,500万円
35年 1,850万円
38年 2,060万円

例えば、大学卒業してサラリーマンになった人が60歳で定年退職する時の在籍期間は38年間になるので、退職所得控除額は2,060万円となります。

退職金2,500万円+iDeCo運用額1,000万円を一括で受け取ると、退職所得は『(受取額3,500万円-退職所得控除額2,060万円)÷2=720万円』と計算できます。

  • 所得税=(720万円×23%)-63.6万円=102万円(復興特別所得税を除く)
  • 住民税=720万円×10%=72万円

税金は合計で174万円となります。ちなみに退職金だけだと約35万円なのでiDeCoの運用額に対しては139万円が課税されるのです。

 

「退職時に退職金を受け取り、その1年後にiDeCoを受け取れば退職所得控除額が2回使えるのでは?」と悪知恵を働いたのですが、どうやら現実はそう甘くはないようです。

iDeCoを一括で受け取る場合、前年以前14年以内に他の退職金を受け取っていると退職所得控除額を共有することになっています。

つまり、定年退職した数年後にiDeCoを一時金で受け取る時には、退職所得控除額を差し引くことができなくなるということです。(在職期間よりiDeCo加入期間が長い場合は一部を使える)

 

退職金2,500万円には退職所得控除額が適用されるので、(2,500万円-2,060万円)÷2=220万円が退職所得になります。

  • 所得税=220万円×10%-9.75万円=12万2500円(復興特別所得税を除く)
  • 住民税=220万円×10%=22万円

そして、数年後にiDeCoの給付額1,000万円を受け取る時には退職所得控除額がゼロになるので、1,000万円÷2=500万円が退職所得になります。

  • 所得税=500万円×20%-42.75万円=57万2500円(復興特別所得税を除く)
  • 住民税=500万円×10%=50万円

税金は合計で141万5千円となるので、同時に受け取る時よりも税金が32万5千円安くなりました。退職所得控除は使えなくなるけど、税金が安くなるのは意外ですね。

60歳に到達してからはiDeCoで新たに掛金を積み立てすることはできませんが、今まで積み立てた資産はそのまま運用することができるので、退職後も数年間は受け取るタイミングを計ることができます。

受け取り額が増えれば税金も上がるため一概には言えませんが、iDeCoを一時金で受け取る場合は退職金と時期をずらした方がお得になる可能性があることを覚えておきましょう。

年金として受け取る場合

年金として数年に渡りコツコツ受け取る場合、税法上は『雑所得』として扱われます。

雑所得の計算方法は、年金などの収入から公的年金等控除額を差し引いた額になります。雑所得から所得控除額(社会保険料控除等)を差し引いた額に税率をかけて所得税と住民税が算出されます。

雑所得(年金収入分)=収入額-公的年金等控除額

公的年金等控除額は65歳未満と65歳以上で異なるので、iDeCo受け取り時は年齢も考慮する必要があります。

総収入額 公的年金等控除額
65歳未満 70万円超130万円未満 70万円
130万円以上410万円未満 収入×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満 収入×15%+78.5万円
770万円以上 収入×5%+155.5万円
65歳以上 120万円超330万円未満 120万円
330万円以上410万円未満 収入×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満 収入×15%+78.5万円
770万円以上 収入×5%+155.5万円

65歳からは国民年金と厚生年金の受給が始まるので、iDeCo+公的年金を一緒に受け取ってしまうと雑所得が多くなり、税金や社会保険料が高くなります。

このため、公的年金の支給が始まる前にiDeCoを受け取ってしまった方が税金面でお得になる可能性は高いです。

例えば、60~65歳までにiDeCoで運用した1,000万円を受け取る場合、1年間の収入は200万円になります。(最後の1年は公的年金の支給を無視して考えます)

公的年金等控除額は200万円×25%+37.5万円=87.5万円、雑所得は200万円-87.5万円=112.5万円となり、ここから所得控除額を差し引き税率をかけていきます。

  • 所得税・・・1.7万円
  • 住民税・・・4.5万円

ざっくり計算すると、だいたいこれくらいの税金がかかります。5年間で31万円なので一時金よりもメリットがあるように感じますね。もちろん再任用などにより給与所得がある場合は計算が変わってきます。

こうして考えると、一時金として受け取る場合と比べ計算がかなり複雑になるので、年金形式で受け取る時は税務署や税理士に相談した方が確実かもしれません。

また、定年が65歳まで伸びたり年金支給開始が70歳以降になる可能性が高いので、今後の年金制度の動向を見守りながら計算を修正する必要はありますね。

一時金と年金形式どっちがいいの?

iDeCoの受け取り方法について、一時金か年金形式か悩むところではありますが、iDeCoのゴールが見えてくる50代半ばまでにならないと、退職金やiDeCoの運用額、年金や税制度など、具体的な数値がハッキリわからないのが現状です。

さらに、老後の生活スタイルによっても最適な手段が異なってくるので、全ての人に当てはまる正解がないことを理解しましょう。自分自身で考えて答えを出すしかないのです。

  • 自分の老後の収入はいくらか?
  • 妻(配偶者)の収入はいくらか?
  • 定年後も働くか?
  • 老後はどのように過ごすか?
  • 定年後にチャレンジしたいことはないか?
  • 子供との付き合いはどうするか?

老後の暮らし方をシミュレーションしておけば、どのように受け取ればいいかが見えてくるでしょう。いくつかのパターンを考えるだけでも楽しいかもしれませんね。

税金計算が面倒な人にとっては、一時金として受け取って退職金と合わせて老後資金を一気に揃えるのも一つの手です。

たとえ退職所得控除額を使えなくても課税されるのは給付額の半分しかないので、それほど大きな損失にはなりませんから。

 

ここまでiDeCoの出口戦略を検討してきましたけど、30~40代の公務員が今すぐに結論を出す必要はなく、今は毎年の年末調整時の節税を忘れずに申請するだけで十分です。

数十年後に備えることは大事ですが、将来は我々が思うほど予想通りには進まないものです。

老後のことはまだまだ先なので、今はコツコツ増えていく資産を眺めながら今の生活を楽しんでいきましょう。

投資初心者の公務員が楽天証券でiDeCo口座を開設する3つのメリット退職金や年金に期待できない今、老後資金を作る目的で個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する人が増えてきています。 iDeCoを活...