公務員の実情

働いてみてわかった地方公務員の具体的な仕事内容を県職員が紹介する

一般の人からしたら公務員って何やっているかイマイチわからないですよね。

公務員志望の大学生も具体的なイメージが沸かなくて「何かつまらない仕事っぽいけど、給料が安定してるから公務員になろう」って考えているんじゃないかな。

この記事では、県職員の具体的な仕事内容について書いていきます。市町村のことはイマイチよくわからないのでご勘弁。

僕の経験した業務を中心にリアルな実情をご堪能下さい。

本庁の仕事内容

県職員の場合、本庁には優秀な人が配置されていると言われています。僕の印象では、優秀というより与えられた仕事をそつなくこなすタイプが多いと思います。

本庁勤務と言っても、人事・財政の激務コースから福利厚生のまったりコースまで多岐に渡ります。正直、色々な仕事があるので、全てを解説することはできません。

ここでは、総務部と農林水産部の仕事について詳しく見ていきましょう。

総務部のお仕事

総務部は県職員の花形と言われる部署が多いです。

代表的なのが人事課と財政課ですね。

人とお金を動かす仕事は出世コースと言われているため、若い頃から評価が高く長時間の残業に耐える体力を持ち合わせた職員が配置されます。

新採職員がいきなり人事や財政に配属されることはなく、早くても3年目を迎えた最初の異動で数名の犠牲者英雄達が2~3年間働く感じです。

 

人事課は職員の人事異動に関する業務といったイメージが先行されますが、職員の給与や法令に関する業務なんかもあります。公用車の保険関係も人事課が担当してましたね。

また、不祥事を起こした職員の対応も人事課が担当したりと、職員の生活に関することは全て人事課が関係していると考えていいでしょう。

僕が休職した時も、上司が人事課に報告したりと公務員なら誰しも間接的にお世話になっています。おそらく僕の家族構成から仕事の評価まで、人事課には職員の細かいデータがあるはずです。

 

財政課は県全体の予算を総括しているイメージがありますが、地方交付税や県債などに関する業務も担当しています。宝くじに関する業務も財政課の仕事です。

それでも、メジャーな業務は何と言っても予算編成。特に下半期から始まる次年度当初予算編成は財政課の一大イベントになっています。

まずは、財政課の若手職員がそれぞれの担当部局から要求された予算が適正かを細かくチェック。財政課担当から意見があった場合、根拠を示した回答ができなければゼロ査定を喰らうことも。

とはいえ、水道代や電気代などの生活経費はそこまで追求されないので、政策に関する部分がメインになります。

財政課の担当はヒアリングが終わったら、今度は上司に予算要求の説明をしなくてはいけません。上司に納得してもらえなかった予算は各部局の担当に説明して、より明確な根拠資料の作成を依頼します。

上司をクリアしたら、財政課長 → 総務部長 → 知事(副知事)への説明が行われ、質問やダメ出しがあったら、再び部局の担当に連絡して対応を一緒に検討するという流れになります。

そして、最終的に議会に承認されると予算編成が確定するって感じです。とはいえ、次年度に向けた資料作成が残っているので、年度末までバタバタ忙しいのが財政課です。

 

総務部には、他にも『知事の秘書』や『県の広報』、『職員の福利厚生』などの業務もあります。

何か新しい政策を行うという仕事はほとんどなく、職員が仕事をする上で必要な整備を行うといったイメージですね。「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。

人事課・財政課は男比率が高くてむさくるしい職場ですが、総務部全体では女性も活躍しているので、他の部署と比べて比較的華やかな印象があります。

農林水産部のお仕事

僕は県職員生活の半分以上を農林水産部で過ごしてきました。

農林水産部の仕事は文字通り農業に関すること。地方だと農林水産業が主流の地域が多いので、新しい政策や新品種の開発に携わることもできます。

個人的には公務員の仕事の中では面白い部類に入ると思います。補助金関係の仕事は事務作業ばかりでつまらないですが(笑)

 

僕が初めて配属されたのが6次産業の促進を担当する部署。ちょうど各自治体が6次産業化に注目していた時期で、新設して2年目の職場です。

農産物の流通や加工品のPR、食のイベントでの県内農産物のPRなど外仕事が多く、公務員らしからぬ業務が中心でした。

ゆるキャラの中の人になったり、Jリーグの試合で選手にヒーロー賞を渡したり様々な経験ができたのはいい思い出です。

 

次に配属されたのが農業技術や新品種の開発に関する部署。農作業ロボットや食品加工専門の施設を整備したりと、とにかくベンチャー企業みたいな仕事が集まっている感じです。

技術職が多い職場だったので、行政職特有のドヨーンとした空気が流れておらず、活気に溢れる賑やかな職場です。僕は行政職なので、課の予算や経理を担当していました。

自分で事業を持っているわけではなかったのですが、予算担当として全ての事業を把握するために技術職の人にたくさん話を聞きまくって農業の最新技術に触れることができました。

これもまた、いい思い出です。

 

農林水産部は野菜、果樹、花、畜産、水産、林業、農業土木など様々な分野にまたがっていますが、どの部署も比較的イベント関係の仕事を1つや2つくらい持っている感じです。

事業を担当している人だと出張も多いので、外仕事が好きな人には心地のいい職場が多いかと思います。僕は経理担当なので出張は年3回くらいしかありませんでした…

また、農林水産部は行政職だけでなく農業職や土木職の方もいるので、THE公務員という職場は少ないです。技術職の人の話を聞くのは面白いし勉強にもなるので、農林水産部はオススメの職場の1つと言えます。

出先機関の仕事内容

出先機関は本庁よりも県民に近い立場での仕事がメインになります。本庁から予算を配当替してもらい事業を行うことが多いですね。

だからといって、本庁の言いなりというわけではありません。それぞれの地域の特徴に合わせて業務をアレンジすることも可能なので、現場目線で仕事がしたい人は楽しい思います。

また、本庁と違って議会対応もほとんどなく、のんびりとした空気が流れているので「居心地がいい」と皆が口を揃えて言います。上司もピリピリした人が少ないので、ストレスがあまり溜まらない職場が多いです。

 

出先機関の代表的な仕事はこんな感じ。今回は、イメージしやすいケースワーカーと農業担当の仕事内容をピックアップしました。

  • 生活保護担当(ケースワーカー)
  • 税務担当
  • 農業担当
  • 地域産業担当
  • 建設担当
  • 健康・衛生担当
  • 家庭支援担当
  • 環境担当

生活保護担当(ケースワーカー)

ケースワーカーは生活保護受給者を訪問したりと出張が多く、自分で計画を立てることができるため、「出張のお昼休憩はあそこのランチを食べ行こう」と2~3年もいたら担当エリアのグルメに詳しくなれます。

生活保護受給者はクセの強い人もいるため人によって合う合わないが分かれますが、「ずっとケースワーカーでもいい」と言う人もいます。

たまにゴミ屋敷みたいなところにお邪魔することもあるそうで、潔癖症の人には相当キツイ試練が待っているのは言うまでもないですね。

残業は年間通して少なめです。

農業担当

本庁よりも実践レベルの事業が多いです。技術指導なんかは農業職の専門分野ですが、農業振興なんかは行政職も配置されています。

農家の人に栽培に関するアドバイスや相談に対応するだけでなく、イベントを企画運営して農業で地域活性化を図ったりもしています。

各地域の伝統的な野菜をPRしたり、ニッチなテーマで面白い事業を行っているところもありますね。

たまに本庁からむちゃぶりされて困るなんてこともあるようで、新しい事業が増えて忙しくなるなんてことも。

出先機関の中では残業が多めの傾向にあります。特に農産物が出荷される夏から秋にかけてが繁忙期です。

行政職の公務員はスキルがほとんど身につかない

行政職の公務員にとっては、異動するたびに新しい仕事を覚えなくてはいけません。極端な話、数年毎に転職を繰り返している感じですね。

とはいえ、公務員の仕事の流れはだいたいどこも同じなので、全くのゼロベースというわけではありません。仕事をやりながら覚えることができるので、大した知識がなくても全然大丈夫です。

行政職の公務員は、様々な仕事を通してゼネラリストを目指すと言われています。たくさんの部署を経験することで、一回り立派になると考えているのでしょう。

ですが、公務員の仕事って深く追求しない部分があるので、2~3年働いたくらいじゃ専門知識が身につくことはありません。

ゼネラリストと言えば聞こえがいいですが、ちょっと知っているくらいで口だけ達者なオジサンを量産しているに過ぎません。知識と経験が仕事に結びつく人はほとんどいないのが現実です。

公務員の仕事は経験したからと言ってスキルが身につくわけではないので、「公務員」という看板がなくなったら何も残らないのが辛いところ。

公務員を続ける限りは給料が貰えるためあまり意識していない人が多いですが、年老いた先には公務員でしか生きられない人生が待っているような気がしてなりません。

終身雇用が崩壊した現代の日本で、公務員の肩書きだけに頼る生き方が賢明なのか、それとも個人でスキルを磨いて選択肢を広げるか、頭のいい人なら答えが見えているはずです。